2月4日礼拝「私達をもとに返して下さい」

詩篇講解NO80「私達をもとに返して下さい」詩篇80篇1~19節

                         仁井田義政 師

 詩篇80篇は、北王国イスラエルが滅亡し、南王国ユダがまだ存続していた時代のものだろうと言われています。南王国滅亡が紀元前722年頃であり、南王国ユダ滅亡が紀元前586年頃ですから、その間の作かもしれません。その証拠は、2節に「エフライム」「ベニヤミン」「マナセ」という北王国イスラエルに住んでいた民族名が出てくるからです。今日の詩篇80篇の中心的な御言は、「私達をもとに返してください」という祈りです。

★その祈りは、三回繰り返されています。一回目は3節の「神よ」。二回目は7節の「万軍の神よ」。三回目は19節の「万軍の神、主よ」ですが、繰り返すごとに神の名が強化されています。それは詩人の信仰が、祈りの中で強められている証拠です。

★1節に「ケルビムの上の御座についておられる方よ」との祈りがあります。このケルビムは、「契約の箱」上につけられた飾りです。ケルビムが聖書に最初に出てくるのは、エデンの園からアダムとエバが追放された所(創世記3:24)です。アダムとエバが、二度とエデンの園に入れないように置いた天的な存在なのです。詩人は、ケルビムの上におられる神様に祈っています。

★「神様の御顔が輝いていた時に」は、詩人が祝福された民と認識しています。「ヨセフを羊のように導かれていた」時は、「ブドウの木のように」勢いがありました。その枝は海にまで伸びました。海は、地中海かも知れません。川は、チグリス・ユーフラテスかも知れません。杉の木は、レバノン杉かも知れません。しかし今は、そのブドウの木も神の手によって切り倒され、神の御顔のとがめによって(16節)悲惨な状態となっているのです。

★イエス様はこのような状態を、父親を捨てて遠い国に行った放蕩息子の譬えで教えて下さっています。マックス・ピカートという哲学者の著書「神よりの逃走」という本の中に、「今や社会全体が神より逃走している。だから誰も、自分が神より逃走しているとは感じなくなってしまった」という文があります。私達は気付こうではありませんか。そして今日の詩人が言っているように、「私達をもとに返してください」と祈ろうではありませんか。しっかりと信仰に立ちましょう。

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