詩篇講解NO130「人生のブラックホール」130篇1~8節
仁井田義政牧師
詩篇130篇は、深く苦悩する者の祈りです。それだけに、私達の心に響いてくる祈りなのです。今日のメッセージには「人生のブラックホール」という題を付けましたが、宇宙にあるブラックホールは、光までも飲み尽くし、出てこられない宇宙の穴のことです。私達の人生では、そのような混沌、カオスを体験することがあります。病気、人間関係、経済的なこと等々、多くの苦悩があるでしょう。詩人は、そのような「深い淵」から、主に祈っているのです。
★詩人は、自分に「深い淵」をもたらしたのは、自分の罪のゆえであることを自覚しています。そのために「深き淵」に落ちてしまい、もがいても足がかりがなく、爪を立てても登れない状態なのです。神様がその罪と失敗に目を留められるならば救いは無いが、神様には赦しがあると祈っています。
★四方八方ふさがりで絶望的な状況でも、最後の望みがあります。それは、神様に助けを求めることでした。詩人は、この世のあらゆるものに頼ることが出来なくなった悩みのブラックホールからの救出を祈っています。それは天地万物の創造者なる神様への祈りです。この短い詩に「主を待つ」と言う言葉が5回も出て来ます。神様の救いを待つ祈りなのです。
★神様はなぜ、こんなに優しいお方なのでしょうか。それは、神様が人となってこの世に来て下さったからです。それはイエス様のことです。イエス様こそ、深い淵が渦巻き苦しみが渦巻くブラックホールを体験されたのです。
ですから「主は、ご自身が苦しまれたので、苦しんでいる人を助けることができる」(へブル2:18)と記されています。
★この詩は個人の苦しみの祈りで始まっていますが、終わりには「イスラエルよ、主を待て」と、不特定多数の祈りとなっています。まさに「苦みの中にある日本人よ、主を待て」「苦みの中にある地上の全ての人々よ、主を待て」と呼び掛けていると考えて良いでしょう。なぜなら私達の神様は、世界の救い主だからです。7~8節にあるように「主の恵み深さ」を信じるのです。「豊かな贖い」を信じるのです。「贖い」とは、救いのことです。
あなたも「深い淵」「心のブラックホール」から救われましょう。