詩篇講解NO53「救いがシオンから来る」詩篇53篇1~6節
仁井田義政牧師
今日の詩篇は、14篇とほぼ同じ内容です。違いといえば、神様の名前が14篇では数か所「主」で、53篇では「神」となっているくらいです。14篇は個人的な詩であり、53篇は神殿などで公式に朗読された詩篇だろうと言われています。14篇は個人にとって、53篇は人間共同体として、何が一番大切なことかを教えています。
★聖書は、本当の愚かな者とは知恵や能力のない者とは違うとはっきり教えています。どんなに知能が優れていても、どんなに社会貢献をしていても、「神はいない」と言う人は愚か者であるとダビデは言っているのです。神様を信じない自己中心の人間社会では、全ての人間が腐ってしまうのです。ローマ人への手紙3章10節に「義人はいない、一人もいない」と、詩篇53篇3節から引用されている通りです。
★「少年よ、大志を抱け」の言葉で有名なクラーク博士が、聖書30冊をカバンに入れて北海道開拓長官の黒田清隆と、北海道に向かう船の中にいました。黒田が「生徒達に聖書を教えてはならない」と言いましたが、クラークは「私は聖書なくして生徒を教育することができない。聖書を教えてはならないというならば、私はアメリカに帰る」と言ったのです。ついに黒田が折れました。クラークは札幌農学校「現、北海道大学」の教師となり、わずか8か月の滞在でしたが、その間にクラス全員の生徒がクリスチャンになったのです。その二期生に、内村鑑三・新渡戸稲造等がいました。
★今日の詩篇には、「イスラエルの救いがシオンから来るように」(6節)と記されています。シオンとはエルサレムのことです。イエス様はエルサレムで十字架に着けられました。そこから「エルサレム、ユダヤ、サマリヤの全土、さらに地の果てまで」(使徒1:8)、つまり世界の果てまで「主を知る知識」が広がったのです。
★今日の詩篇は、神様を忘れた民が背景となっています。ですからダビデは「シオンから救いが来るように」と祈っているのです。聖書は、人間の本当の愚かさとは何か、それは「神はいないということである」と、はっきり言っています。私達も愚か者にならず、シオンから来られたイエス様をしっかりと信じて、生きる人となりましょう。