Monthly Archives: 11月 2023

11月19日礼拝「夜からの解放」

詩篇講解NO74「夜からの解放」74篇1~9節

                    仁井田義政 牧師

 アサフは紀元前約1000年の人です。詩篇74篇の背景には、神殿の壊滅が記されています。神殿は、紀元前586年にバビロン軍によって破壊されました。もしこの詩篇のサフが個人名であるとすれば、400年くらい生きていたことになります。そのようなことはないでしょう。このアサフは、アサフ族のことでしょう。ですから、そのアサフ族の「嘆きの詩」と考えられます

★1節には「神よ、なぜいつまでも拒み御怒りを燃やされるのですか。」と記されています。この言葉から見て、バビロンに奴隷となってから数年は過ぎている頃の詩でしょう。作者は、このバビロン捕囚は神様への不信仰の結果と受けとめています。しかし作者は「昔あなたが買い取られた、贖われた民を」と祈っています。「昔」とはエジプトからの解放の時のことで、それを例に祈り、くいさがっているのです。

★詩人は「神殿が破壊されたままなのに、神様は足を向けず」(3節)「右の手を懐に引っ込めておられる」(11節)と言っています。それはこんなに、神の神殿が破壊され、略奪され、神の民達が苦しめられているのに、神様は黙っておられると不平を漏らしています。その屈辱的な時に、私達に預言者(霊的な指導者)もいない(9節)と嘆いています。私達の神様は、昔から天地万物の創造や、イスラエルの民の奇跡的な救出の御業を行なってくださったが、いま神様は何もしてくれないと不平を言っているのです。

★しかし、神様はイスラエルの民達に預言者(指導者)を置かなかったのでしょうか。バビロン捕囚の前に、イザヤやエレミヤという大預言者を置きました。しかしイスラエルの民は、彼らを信じないで迫害したのです。エレミヤ29章10節には「捕囚期間は70年」とはっきりと預言されています。彼らはエレミヤを信じなかったので、そのことを知らなかったのです。

★私達にも、絶望的な人生を歩いているように思える時があります。しかしこの詩人がいみじくも言っているように、「昼はあなたのもの、夜もあなたのもの」なのです。人生には真昼のような希望に満ちた時もあれば、夜のような絶望的な時もあります。しかしイエス様こそ、まことの指導者であり、あなたを暗闇から救い出す解放者なのです。ですからあなたも、イエス様を信じてあらゆる闇から解放されましょう。

11月5日礼拝「理想的な王」

詩篇講解NO72「理想的な王」72篇1~4節

                    仁井田義政 牧師

 今日の72篇には、「ソロモンによる」と記されています。私は個人的にはダビデの人生最後の詩ではないかと思っています。この詩を最後に、ダビデの詩篇は終わっています。その内容は、理想的な王とはどのような王かを教えています。

★はじめ神様は、王制に反対でした。兵役等で民を苦しめるからです。しかし人々は、「私達にも外国のように王様が欲しい」と叫びました。神様は不本意ながら、王になる人に聖霊の象徴の油を注いで王としたのです。

★理想的な王は、「義」もって国民を治めると記されています。そのためにイスラエルには十戒がありました。しかしサウル王は嫉妬、ダビデ王はバテシェバとの罪、ソロモン王は偶像礼拝者となりました。誰も王としての「義」を充たせなかったのです。

★理想的な王は、「弱い人や貧しい人を助け、虐げる者を打ち砕く者でなければならない」と記されています。しかし王様の多くは、貧しい者の意見には耳を貸さず、金持ちや権力者の意見を重要視することが多いのです。また王様は、「助けを求める貧しい人や、助ける者がいない人を助ける」人でなければならないとも記されています。

★理想的な王は、「全ての国々でほめたたえられ」「その栄光は地に満ちわたる」(19節)と記されています。はたして今までの歴史でその条件にすべて当てはまる王様や、大統領、総理大臣など一人もいませんでした。

★理想的王の条件を充たす方は、キリストお一人です。キリストとはヘブル語でメシヤと言い、その意味は「油注がれた者」なのです。キリストだけが、聖書に書かれている全ての王の条件を充たし、実行された理想的な王なのです。 ★イエス様こそ、この世に軍事国家を作らず、貧しい人や頼る者のない人に救いの手を伸べてくださいました。しかしそれは、弟子達や人々の目には「理想の王」には見えませんでした。人々は「イエスを十字架につけよ」と叫び、弟子のユダやペテロまでもがイエス様を裏切ったのです。私達はイエス様を、霊的な目でしっかりと見て、神様から「油注がれた」理想的な王、まさに王の王、主の主とし、イエス様を信じ礼拝する者となりましょう。